【NCTの“個”を聴く #3】声に映る感情と色彩──DOYOUNG「안녕, 우주 (Memory)」

音楽レビュー

ソロアルバムをリリース後、
6月13日〜15日の3日間、
ソウルでソロコンサートが開催されました。

多くのファンが、
ドヨンにどっぷり浸った
濃密な時間を過ごしたのではないでしょうか。

7月からは日本でのコンサートもスタートします。
今から待ち遠しい方も多いはず。

今回はドヨンの2枚目のソロアルバムのタイトル曲
「안녕, 우주 (Memory)」を通じて、
彼の魅力に迫ります。

アメリカツアー中に出会い、
すぐに心惹かれたという曲。
その魅力とドヨンらしさをじっくり紐解いていきます。

ドヨンの声の魅力とは?

ドヨンといえば高音のイメージが強いですよね。

もちろん、それは彼の音楽を語るうえで欠かせません。
私も天井を突き抜けるような
彼のハイトーンが大好きです。

でも、彼のいちばんの魅力は
「声の色」なのではないかと思っています。

顔が見えなくても、
声だけで感情が伝わってくる。

まるで泣いているかのように悲しそうな声や、
心から幸せだと感じていることが伝わってくる声。

そんな声が曲に鮮やかな色を与えているのではないでしょうか。

楽しくて、どこか切ない――「안녕, 우주 (Memory)」という曲について

「안녕, 우주 (Memory)」は、
バンドサウンドのロックナンバー。

夏に聴くと爽やかで気分が上がるような、
ポジティブなメロディが印象的です。

一方で「僕たちの輝かしい日々を忘れないでほしい」という、
別れの寂しさや願いが込められた曲でもあります。

楽しいのに、どこか寂しい。
そんな哀愁のようなものを感じられる楽曲です。

ドヨン自身も「口元は笑っているけど、目は泣いているような雰囲気」
と話していましたが、
本当にその通りだなと感じました。

歌詞に込められた儚い思い出と希望

時間には勝てないことがある
君という風が吹けば 全てがここにある
変われないものは 全て星になる

この歌詞からは、
美しい思い出も時間とともに薄れてしまうことがある、
という少しの寂しさを感じます。

でも、それは完全に消えてしまうわけではありません。

ふとした瞬間にふわっと香るように思い出される存在として、
私たちの中に残っていきます。

すべてが星としてそこにあって、
たとえ遠く離れていても
ずっと光り続けているような感覚です。

「美しかったあの日はずっとそこにあってほしい」という願いと、
「本当に、そうだよね」とうなずきたくなるような実感が
入り混じったような感覚がしました。

願いというより、
“そうあるよね”という確信に近い感覚かもしれません。

ドヨンの声から始まる、まっすぐな爽やかさ

この曲の一番のインパクトポイントは、
やはり冒頭の導入部ではないでしょうか。

何の装飾もなく、
ドヨンのまっすぐな声から始まるその瞬間に、
一気に引き込まれました。

ドヨン本人も語っていましたが、
SMのタイトル曲としては珍しく、
声以外の楽器の音が控えめな構成です。

その分、ドヨンの声の魅力が
ストレートに伝わってきました。

ポジティブなメロディとは対照的な切ない歌詞と、
彼の声色の相性がとても良くて、

「忘れないでほしい」という願いと、
「輝かしい思い出は残り続けるんだ」という希望が
入り混じった感情が、声を通して伝わってくるようでした。

もちろん歌詞も素敵ですが、
それ以上に「聴いているだけで気分がいい」と思えるのが、
この曲の大きな魅力だと思います。

軽やかなバンドサウンドと
ドヨンの透き通った声がぴったり合っていて、

夏に気分を上げたいときにぴったりの一曲になっていると感じました。

NCTとは違う、ドヨンの新しい音楽の姿

NCTの音楽といえば、
「ネオ」と呼ばれる少し独特なジャンルですよね。

特にNCT 127(イリチル)は、
その“ネオ”をグループ全体で牽引してきた存在だと思います。

その中でも、ドヨンのまっすぐなボーカルは
いつも際立っていました。

ですが、前回のソロアルバムから彼は
NCTの枠とはまったく異なるジャンルの音楽を選んでいます。

正直、ネオな曲ではないだろうとは思っていましたが、
バラードかR&Bあたりかなと予想していたので、

今回のバンドサウンドにはいい意味で驚かされました。

SMがここまで自然にバンドサウンドを消化していることにも驚きましたし、
それ以上に、ドヨン自身の表現の可能性の広がりを強く感じました。

“声”を武器に、自分の色を確立したドヨン

2枚目のソロアルバムをリリースしたことで、
ドヨンは“自分の色”をはっきりと確立したように思います。

NCTというグループではなかなか見られなかったジャンルを通して、
彼の最大の武器である「声」を存分に活かしたアルバムになっていました。

楽曲の良さ、歌詞の深さ、
そして“声で感情を映す”というドヨンの魅力がぎゅっと詰まっていて、

聴き終わったあと、どこか心があたたかくなるような作品でした。

ドヨンのソロアルバムリリースをきっかけにスタートした
「NCTの“個”を聴く」シリーズ。

ついにドヨンについて書くことができました。
このシリーズはまだまだ続きます。

▶「NCTの“個”を聴く」シリーズ一覧:
#1 MARK「1999」#2 JAEHYUN「Unconditional」#3 TEN「Birthday」

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